先日行われた高校生のための演劇教室では、参加者から事前に講師の先生に質問したいことを募っていました。しかし、会場にいる生徒の質問への回答を優先的におこなった結果、すべての質問に答えることができませんでした。
照明講師をしていただいた今津知也先生から、「事前質問にもしっかり答えてあげたい」という申し出があり、文章での回答をいただきましたので、こちらにその回答をあげます。質問をした人はもちろん、それ以外の照明をやろうと思っている人に参考となる内容だとおもいます。
それではいってみましょう。
ギャラ(斜め明かり)はどのような場面でつかえばいいですか?
講習会でも少し触れましたが、地明かりと角度を変えて絵の変化をつける時や、
上からよりは顔の表情が取りやすくなるので前明かりをあまり使いたくない
(ちょっと演出照明的にしたい、明かりを奥までのばしたくない、など)でも使います。
また、いろんな角度から明かりをつければそれだけ影を埋めることになるので、
とにかく明るくしたかったり立体物をクリアに見せたい時に使います。
各シーンに合う照明を作るには、どんなことに気をつければよいですか?
作品においてそのシーンが“何を見せたいのか”を見失わないこと。
例えばそれが“変化が起きること”であれば、より大事なシーンを優先して考え、他のシーンはそこからの差分で考えたりもします。
照明を暗転して明転するときの間の取り方に何かコツがありますか?
これは正直、転換や出ハケなどの都合なことが多いです。
あえていうなら、オペレーター(卓操作者)が作品と共に生きているということかと。
板に立っているキャストと一緒に呼吸して、音がかかっていたら聞く。
出来た照明の色が自分の理想と違うことはありますか?
めっちゃあります。その違いが許せるのか否かの線引きはしっかり考えます。
(時間との勝負にもなりましょうが…)
単体でのことではなく、全体のバランスで考えます。
色を考えるときどうやって考えるのかが知りたいです。
照明のプランの核は“板の上にあるもの(主にキャスト)をどう見せたいか”だと考えているので、色は生〜青のバランスで、どの角度から当たるかと光量の方が大事だと思います。
先述した“変化がつけたい時”などにホリに頼ったりするかと思いますが、
実際に観たりして経験値を貯めていくのが一番だと思います。
なんとなくのイメージよりも、確実に手札にある色を使った方が強度のあるプランになります。(作品上仕方なく新しい色にチャレンジをしたりして、そうしてまた手札が増えます。)
ホリの色の作り方がわからない。
これも、経験値を増やすしかないのかなあと思います。
始めのうちは色を混ぜすぎないのがコツかとは思います。
考えることが複雑な割にただ白くなっていくだけなので。基本二色以内とか。
ちなみにアッパーホリは空を作りやすい配色になっているので、
カラフルにするならローホリでやるのがおすすめです。
大まかに自分だと、アッパーはどうせ青くなるので、暖かいイメージにしたければ
ローホリ黄色、青と緑を混ぜると荘厳なイメージ(ウエディングとか、学校とかでも)。
夕焼けなんかはアッパーを濃いめ(#71)にしてローホリは赤と黄色でオレンジにして、とか。
正解はないと思いますので、あまり悩まずに好きな色でいいかと!
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